ポイント解説ま行(8首)

point-1元良親王(もとよししんのう)

第20番
元良親王
(もとよししんのう)

わびぬれば いまはたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思ふ


☆ わびぬれば いまはたおなじ なにはなる みをつくしても あはむとぞおもふ
★ わびぬれば いまはたおなじ なにわなる みをつくしても あわんとぞおもう


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 逢うこともできないで、このように思いわずらっているいまは、もう身を捨てたのと同じことです。いっそのこと、難波潟(現在の大阪湾)にみえる航路を示す杭である「澪標(みおつくし)」の名のように、身を尽くしてでもあなたに逢いたいと思うのです。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  宇多天皇(うだてんのう)の妃のひとりである藤原褒子(ふじわらのほうし)との道ならぬ恋が露見してしまい、そのことを嘆いた和歌です。結婚の契約が現代よりも緩かった時代ですが、さすがに天皇のお妃との不倫関係は、世間から責められるものでした。自分の立場よりも、恋人に会いたい気持ちを詠う元良親王の切なくも激しい気持ちに胸が詰まるようではありませんか?

小倉百人一首_作者タイトルについて  本良親王は、いまから1100年ほど前の皇子です。第13番の歌人である陽成院(ようぜいいん)の第一皇子でした。第一皇子でしたが、父院が退位された後に生まれたので、生涯、皇位とは無縁でした。和歌を詠むのが上手でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。

注2)女性は、本名すら伝わることも稀なので、正確な読み方もわからない場合が多いです。混乱を避けるため、女性の名前は一般的に音読みされます。訓読みが浸透している女性のみ訓読みも記すことにします。


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point-2源兼昌(みなもとのかねまさ)

第78番
源兼昌
(みなもとのかねまさ)

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守


☆ あはじしま かよふちどりの なくこへに いくよねざめぬ すまのせきもり
★ あわじしま かようちどりの なくこえに いくよねざめぬ すまのせきもり


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 淡路島を行き来する千鳥のもの哀しい鳴き声を聴いて、幾夜目を覚ましたことでしょう。あの須磨の関守は?

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  須磨の関守とは、現在の兵庫県神戸市須磨区にあった関所の番人のことです。波音に混ざって聴こえてくる千鳥の鳴き声は、なんとも寒々しくもの哀しいものだったのでしょう。兼昌の旅の経験から詠まれたものでしょうか。関守に思いを馳せていることが、より故郷から離れた旅情感が漂っているように感じます。

小倉百人一首_作者タイトルについて  源兼昌は、いまから900年ほど前のさほど地位の高くない官僚です。後に出家しました。和歌を詠むのが上手でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-3源俊頼朝臣(みなもとのとしよりあそん)

第74番
源俊頼朝臣
(みなもとのとしよりあそん)

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを


☆★ 受かりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 つれなかったあの人をわたしに振り向かせてください、と初瀬の観音さまにお祈りしましたが、初瀬山の山おろしの激しさのように、この恋のつらさまで激しくなるように、とは祈らなかったのになぁ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  初瀬の観音さまは、現在の奈良県桜井市にある長谷寺(はせでら)の観音さまで、多くの尊崇を集めていました。観音さまに恋の成就をお祈りせずにはいられないほど、恋焦がれた相手はどんな女性だったのでしょうね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  源俊頼は、いまから900年ほど前の貴族です。第71番の歌人である源経信(みなもとのつねのぶ)の息子です。地位はさほど高くはなりませんでしたが、三代の天皇に仕え、和歌を詠むのが上手でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-4紫式部(むらさきしきぶ)

第57番
紫式部
(むらさきしきぶ)

めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな


☆ めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よはのつきかな) ★ めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 久しぶりに会えたのに、見たかどうかもわからないくらいに雲に隠れてしまう夜更けの月のように、あなたも、あっという間に帰ってしまいましたね。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  久しぶりに再会した幼なじみのことを詠んだ和歌です。宮仕えのご用の途中だったのでしょうか。子供が待つ家路を急いでいたのでしょうか。電話もメールもなかった時代ですから、なかなか気軽に話をすることも出来なかったでしょう。式部の友だちを親しく懐かしく思う気持ちが込められた和歌ですね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  紫式部は、いまから1000年ほど前の宮廷女官です。本名は伝わっていません。藤原為時(ふじわらのためとき)という中流貴族の娘でした。藤原宣孝(ふじわらのためたか)と結婚し、第58番の歌人である大弐三位(大弐三位)と呼ばれる娘賢子(けんし)を産みました。やがて夫とは死別し、その寂しさのなかで『源氏物語』を書き始めたそうです。その物語が広まり、藤原道長(ふじわらのみちなが)の娘で一条天皇中宮(いちじょうてんのうちゅうぐう)の彰子(しょうし)のもとへ宮仕えをするようになりました。はじめ藤原氏ということで藤式部(とうのしきぶ)と呼ばれていましたが、『源氏物語』の主人公のひとりである「紫の上」から紫式部と呼ばれるようになったようです。


注1)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。

注2)女性は、本名すら伝わることも稀なので、正確な読み方もわからない場合が多いです。混乱を避けるため、女性の名前は一般的に音読みされます。訓読みが浸透している女性のみ訓読みも記すことにします。


point-5源重之(みなもとのしげゆき)

第48番
源重之
(みなもとのしげゆき)

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ 砕けてものを 思ふころかな


☆ かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもふころかな
★ かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもうころかな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 風が激しいので、岩にあたる波がひとり砕け散るように、わたしひとりだけが、恋に心が乱れ砕けて、思い悩むことですよ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  自分の強く激しい恋心を自覚し、そして砕け散ってしまった悲しみ。地方勤めの旅の途中で、岩に砕け散る波の様子を目の当たりにしたのでしょうか。寒々しくも激しい情景が目に浮かぶようです。そして、その波に自身の恋心を比喩させた重之の哀しみもまた、胸をうちますね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  源重之は、いまから1050年ほど前のあまり地位の高くない官僚です。清和天皇(せいわてんのう)の孫ですが、父親の代に苗字を与えられ、皇族ではなくなりました。地方勤めが多かったようです。和歌を詠むのが上手でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-6壬生忠見(みぶのただみ)

第41番
壬生忠見
(みぶのただみ)

恋すてふ わが名はまだき たちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか


☆ こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか
★ こいすちょう わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもいそめしか


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 恋をしている、というわたしの噂は、はやくも皆に知られてしまった。人知れず、密かに恋しはじめたところだったのになぁ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  この和歌は、村上天皇(むらかみてんのう)の御前で行なわれた「天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ)」の結びとして詠まれたものです。歌合(うたあわせ)とは、左右から一首ずつ和歌を詠み、優劣をつけるものです。第40番の平兼盛(たいらのかねもり)の和歌と競われました。二首の素晴らしさに、誰も優劣をつけられず、村上天皇も判断をくだされなかったそうですが、密かに第40番の方の和歌を口ずさんでおられたので、この和歌を負けとなってしまいました。第40番の和歌は、パッと華やかですが、こちらの和歌は、優美な印象ではありませんか?

小倉百人一首_作者タイトルについて  壬生忠見は、第30番の歌人である壬生忠岑(みぶのただみね)の息子で、いまから1050年ほど前の下級官僚です。地位はぱっとせず、貧困で苦しんだようですが、歌人としては名高く、多くの和歌を残しました。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-7壬生忠岑(みぶのただみね)

第30番
壬生忠岑
(みぶのただみね)

ありあけの つれなく見えし 別れより あかつきばかり 憂きものはなし


☆★ ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 夜明け前の有明の月が、明け方の空にそっけなく光っていたときの、あなたとの冷たくそっけない別れの日以来、夜明けの暁ほど、わたしにとって切なくて辛いものはありません。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  夜明け前の月が冴え冴えと光っている様子が目に浮かびませんか?なんとも静かで哀しくも美しい景色です。忠岑は、相手の女性との恋が終わってしまったのでしょうか。暁の月をみるたびに思い出すとは、切ないことですね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  壬生忠岑は、いまから1100年ほど前の下級官僚です。地位は高くありませんでしたが、歌人として名高く、宇多法皇(うだほうほう)のお出掛けにもお供をして、和歌を捧げました。第41番の歌人である壬生忠見(みぶのただみ)は息子です。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-8源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)

第28番
源宗于朝臣
(みなもとのむねゆきあそん)

山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば


☆ やまさとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば
★ やまさとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもえば


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 山里は、ただでさえ寂しいところなのに、冬は、いっそう寂しさが強く感じられるなぁ。人の行き来も少なくなり、草も枯れ果ててしまったと思うと・・・。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  寂しい景色が目に浮かぶようではありませんか?宗于は山里に暮らしていたのでしょうか。寂しいなぁと詠みながら、なんとなくのんびりとしんみりしているような少しのどかな風が感じられるような気もします。

小倉百人一首_作者タイトルについて  源宗于は、いまから1100年ほど前の貴族です。第15番の歌人である光孝天皇(こうこうてんのう)の孫でしたが、苗字を与えられ、皇族ではなくなりました。和歌を詠むのが上手でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


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