ポイント解説な行(3首)

point-1入道前太政大臣(にゅうどうさきのだいじょうだいじん)

第96番
入道前太政大臣
(にゅうどうさきのだいじょうだいじん)

花さそふ あらしの庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり


☆ はなさそふ あらしのにはの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり
★ はなさそう あらしのにわの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 桜の花を誘って散らす嵐の吹く庭の、雪のような花びらではなくて、年老いて古びていくのは、この我が身だなぁ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  この時代、特に記されなければ、「花」といえば「桜の花」のことでした。桜の花びらが降り散ることと、身が古びる、「ふる」を掛けた、老人の和歌です。桜の花びらが風に振り散る美しい光景を詠みながら、公経は、しみじみと我が身の老いを感じていたのでしょうね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  入道前太政大臣は、本名を西園寺公経(さいおんじきんつね)といいます。入道とは、出家した、という意味です。太政大臣は職名で、大臣の最高位です。この『小倉百人一首』を選んだ藤原定家(ふじわらのていか)の妻の弟にあたります。

注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


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point-2二条院讃岐(にじょういんのさぬき)

第92番
二条院讃岐
(にじょういんのさぬき)

わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かはくまもなし


☆ わがそでは しおひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かはくまもなし
★ わがそでは しおひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 わたしの袖は、引き潮のときにも海のなかにあって姿の見えない沖の石のように、誰に知られることもなく、恋の涙で乾くひまもありません。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  涙で濡れた袖を海中の石にたとえるなんて、どれだけ涙を流したのでしょう。この見事な和歌によって、讃岐は、「沖の石の讃岐」と呼ばれるようになったそうです。

小倉百人一首_作者タイトルについて  二条院讃岐は、いまから800年ほど前の宮廷女官です。歌人として名高い源頼政(みなもとのよりまさ)の娘です。二条天皇(にじょうてんのう)に仕えました。二条院の崩御後、後鳥羽天皇中宮(ごとばてんのうちゅうぐう)である宜秋門院九条任子(ぎしゅうもんいんくじょうにんし)に仕えました。歌合(うたあわせ)に多く呼ばれ、歌人として厚遇されました。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。

注2)女性は、本名すら伝わることも稀なので、正確な読み方もわからない場合が多いです。混乱を避けるため、女性の名前は一般的に音読みされます。訓読みが浸透している女性のみ訓読みも記すことにします。


point-3能因法師(のういんほうし)

第69番
能因法師
(のういんほうし)

あらし吹く み室の山の もみぢばは 竜田の川の 錦なりけり


☆ あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり
★ あらしふく みむろのやまの もみじばは たつたのかわの にしきなりけり


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 嵐が吹き降ろす神さまのおいでになる御室山の紅葉は、竜田川(奈良県西部を流れる川。古くより紅葉の名所として有名。)に散り落ちて、まるで錦のようです。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  情景が目に浮かぶような和歌ですね。特に技巧を凝らした言葉あそびが使われているわけでもなく、のびのびと秋の美しさを詠っています。

小倉百人一首_作者タイトルについて  能因法師は、俗名を橘永愷(たちばなのながやす)といいます。下級官僚の息子で、はじめ文章生(もんじょうせい)として学者を目指していました。30歳の頃に出家して、歌人として活躍しました。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


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