ポイント解説21番~30番

point-1壬生忠岑(みぶのただみね)

第30番
壬生忠岑
(みぶのただみね)

ありあけの つれなく見えし 別れより あかつきばかり 憂きものはなし


☆★ ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 夜明け前の有明の月が、明け方の空にそっけなく光っていたときの、あなたとの冷たくそっけない別れの日以来、夜明けの暁ほど、わたしにとって切なくて辛いものはありません。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  夜明け前の月が冴え冴えと光っている様子が目に浮かびませんか?なんとも静かで哀しくも美しい景色です。忠岑は、相手の女性との恋が終わってしまったのでしょうか。暁の月をみるたびに思い出すとは、切ないことですね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  壬生忠岑は、いまから1100年ほど前の下級官僚です。地位は高くありませんでしたが、歌人として名高く、宇多法皇(うだほうほう)のお出掛けにもお供をして、和歌を捧げました。第41番の歌人である壬生忠見(みぶのただみ)は息子です。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


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point-2凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

第29番
凡河内躬恒
(おおしこうちのみつね)

心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花


☆ こころあてに おらばやおらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな
★ こころあてに おらばやおらん はつしもの おきまどわせる しらぎくのはな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 あてずっぽうに折ってみようかな。真っ白な初霜が一面に降りて、霜なのか白菊なのか、わからなくさせている白菊の花さん。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  霜と白菊の見分けがつかないわけがないじゃない?なんて無粋なことを言ってはいけません。一面に咲く白菊に真っ白な霜が初めておりた朝の躬恒の驚きと感動に思いを馳せてみましょう。

小倉百人一首_作者タイトルについて  凡河内躬恒は、いまから1100年ほど前の下級官僚です。地位は高くありませんでしたが、『六歌仙』を選んだ第35番の歌人である紀貫之(きのつらゆき)と並び称された和歌の名人でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-3源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)

第28番
源宗于朝臣
(みなもとのむねゆきあそん)

山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば


☆ やまさとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば
★ やまさとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもえば


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 山里は、ただでさえ寂しいところなのに、冬は、いっそう寂しさが強く感じられるなぁ。人の行き来も少なくなり、草も枯れ果ててしまったと思うと・・・。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  寂しい景色が目に浮かぶようではありませんか?宗于は山里に暮らしていたのでしょうか。寂しいなぁと詠みながら、なんとなくのんびりとしんみりしているような少しのどかな風が感じられるような気もします。

小倉百人一首_作者タイトルについて  源宗于は、いまから1100年ほど前の貴族です。第15番の歌人である光孝天皇(こうこうてんのう)の孫でしたが、苗字を与えられ、皇族ではなくなりました。和歌を詠むのが上手でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-4中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ)

第27番
中納言兼輔
(ちゅうなごんかねすけ)

みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ


☆ みかのはら わきてながるる いづみがわ いつみきとてか こひしかるらむ
★ みかのはら わきてながるる いづみがわ いつみきとてか こいしかるらん


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 みかの原(現在の京都府相楽郡)に湧いて流れるいづみ川よ。その「いつ」という言葉ではないけれども、わたしはいったいあの方にいつお逢いして、こんなに恋しいと思うようになったのでしょう。お逢いしたこともないのに。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  兼輔の時代は、特に深窓の姫君は出歩くことが無かったので、出会う機会がありませんでした。「あそこの姫君は美しいらしい」「あそこの姫君は優しくて上品らしい」などという噂を頼りに、男性はこれは、と思う姫君に和歌を贈り、その詠みぶりや筆跡、紙や薫りなどで姫君の様子を想像して恋に落ちたのです。兼輔もちょうどそんな恋をしていたのでしょう。

小倉百人一首_作者タイトルについて  中納言兼輔は、本名を藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)といいます。いまから1100年ほど前の貴族です。中納言は職名で、左大臣だった藤原冬嗣(ふじわらのふゆつぐ)の曾孫としては、あまり高位とはいえませんが、『六歌仙』を選んだ第35番の歌人である紀貫之(きのつらゆき)や第29番の歌人である凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)といった当代の名歌人と交流があり、歌壇の中心的存在でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-5貞信公(ていしんこう)

第26番
貞信公
(ていしんこう)

小倉山 峰のもみぢば 心あらば いまひとたびの みゆきまたなむ


☆ おぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ
★ おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 紅葉の名所である小倉山(現在の京都市右京区嵯峨にある山)の峰の紅葉よ。もしおまえに心があるならば、もう一度あるはずの天皇のおでかけである行幸(みゆき/ぎょうこう)のときまで、どうかそのまま散らないで待っていておくれ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  この和歌は、宇多法皇(うだほうおう)が、小倉山の紅葉をご覧になり、とても美しかったので、御子である醍醐天皇(だいごてんのう)にも見せたい、とおっしゃったのを聞いた貞信公が、法皇の言葉を受けて詠んだのだそうです。法皇や天皇への儀礼が含まれているとはいえ、美しい紅葉が山を彩る様子が目に浮かぶようですね。優美な言葉運びも、何とも穏やかな気持ちになりませんか?

小倉百人一首_作者タイトルについて  貞信公は、本名を藤原忠平(ふじわらのただひら)といいます。いまから1100年ほど前の貴族です。最高位の太政大臣にまで登りつめた人物です。貞信公は、亡くなった後に贈られた名前です。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-6三条右大臣(さんじょうのうだいじん)

第25番
三条右大臣
(さんじょうのうだいじん)

名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られて 来るよしもがな


☆ なにしおはば あふさかやまの さねかづら ひとにしられて くるよしもがな
★ なにしおわば おうさかやまの さねかずら ひとにしられて くるよしもがな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 「逢う」という言葉をその名に持っている逢坂山に生えているサネカズラよ。サネカズラの蔓(つる)を手繰るように、人に知られずに、あなたがわたしのところへ来る方法はないものかなぁ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  秘密の恋をしていたのでしょうか?他人に知られてはいけない間柄だったのか、まだ公にするには始まったばかりの恋だったのか。何とか逢う方法は無いものかなぁと思い悩む詠み手に、親近感を覚えませんか?

小倉百人一首_作者タイトルについて  三条右大臣は、本名を藤原定方(ふじわらのさだかた)といいます。いまから1100年ほど前の貴族です。「右大臣」という上から三番目の地位にまでのぼりました。京都の三条に邸宅があったので、「三条右大臣」と呼ばれています。和歌を詠んだり、楽器を演奏するのも上手だったそうです。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-7菅家(かんけ)

第24番
菅家
(かんけ)

このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢのにしき 神のまにまに


☆ このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに
★ このたびは ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 今回の旅では、神さまに捧げる幣(ぬさ)をご用意することができませんでした。この手向山(現在の京都府と奈良県の県境の山)の錦織のように美しい紅葉をどうぞ神さまの御心のままにお受けください。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  宇多上皇(うだじょうこう)が、吉野の宮滝(現在の奈良県)をご覧にお出かけになられたときに、道真もお供をし、その旅の途中で詠んだ和歌です。紅葉があまりにも美しく見事なことに驚き感動した気持ちを表現した和歌ですね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  菅家は、菅原道真(すがわらのみちざね)のことです。宇多天皇(うだてんのう)・醍醐天皇(だいごてんのう)にお仕えし、文章博士(もんじょうはかせ)から右大臣(うだいじん)にまでなりましたが、政争に巻き込まれて、大宰府(現在の福岡県)の職場へ左遷されました。悲運に亡くなった道真を慰めようと、天神様として祀られました。学問全般に優れていたので、いまでも学問の神様として尊敬されています。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
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point-8大江千里(おおえのちさと)

第23番
大江千里
(おおえのちさと)

月みれば ちぢにものこそ かなしけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど


☆★ つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 月を見上げると、さまざまな物思いに心が乱されて、何とも物悲しく感じられるなぁ。なにもわたしひとりだけの秋ではないのだけれど。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  暑さで鬱陶しいと思いつつも、生命力にあふれ、気持ちも元気にさせてくれた夏が終わると、涼しさにほっとしつつも草木が枯れ始め、木々も紅葉しはじめると、なんとなく寂しい気持ちになってきませんか?こんな気持ちを感じているのは自分だけかしら・・・。ふと、余計に寂しさが深まるときもあるでしょう。そんなときは、1000年以上も前の千里も同じことを感じたのだと、この和歌を思い出してみてくださいね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  大江千里は、平城天皇(へいぜいてんのう)の曾孫です。高名な漢学者である大江音人(おおえのおとひと)の息子で、同じく千里も優れた漢学者でした。いまから1150年ほど前のひとです。和歌を詠むのが上手でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-9文屋康秀(ふんやのやすひで)

第22番
文屋康秀
(ふんやのやすひで)

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ


☆ ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ
★ ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 風が吹くやいなや、秋の草木がしおれてしまうなぁ。だから、なるほど。草木をあらす山から吹く風を「嵐」というんだなぁ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  言葉あそびの和歌です。「山」と「風」という漢字を足すと「嵐」という字になりますね。「あらし」は「荒らし」の意味で、その言葉に「嵐」という字を当てたのですが、それを上手に詠み込んでいます。和歌は、このような機知を楽しむツールとしても親しまれたのですね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  文屋康秀は、いまから1100年ほど前のあまり地位の高くなかった官僚です。第9番の歌人である小野小町(おののこまち)と交流があったことがわかっています。和歌を詠むのが上手で、第35番の歌人である紀貫之(きのつらゆき)が選んだ、六人の優れた歌人『六歌仙』のひとりにも選ばれています。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-10素性法師(そせいほうし)

第21番
素性法師
(そせいほうし)

いまこむと いひしばかりに 長月の ありあけの月を 待ちいでつるかな


☆ いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな
★ いまこんと いいしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 いますぐに行きますよ、と、あなたがおっしゃったのを信じて待っていたら、9月の夜明けに昇る有明の月を待つことになってしまいましたよ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  詠み手はお坊さんですが、女性の立場で詠んでいます。長月は9月の別称で、この和歌が詠まれた頃は旧暦ですから、現在の9月末から10月末くらいの時期です。夜に訪れると言われたので楽しみに待っていたら、そのまま夜を明かしてしまった・・・。待っていた女性はどれだけがっかりしたことでしょう。皆さんも、電話やメールを待っていて、こんな気持ちになったことはありませんか?

小倉百人一首_作者タイトルについて  素性法師は、いまから1100年ほど前のお坊さんです。第12番の歌人である僧正遍昭(そうじょうへんじょう)の息子で、出家する前の名前は、良岑玄利(よしみねのはるとし)といいました。和歌を詠むのが上手で、宇多上皇(うだじょうこう)や醍醐天皇(だいごてんのう)にお仕えしました。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


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