ポイント解説41番~50番

point-1藤原義孝(ふじわらのよしたか)

第50番
藤原義孝
(ふじわらのよしたか)

君がため 惜しからざりし いのちさへ 長くもがなと 思ひけるかな


☆ きみがため おしからざりし いのちさへ ながくもがなと おもひけるかな
★ きみがため おしからざりし いのちさえ ながくもがなと おもいけるかな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 あなたにお逢いするためなら、死んでもよいと思っていたわたしの命ですが、お逢いできたいまとなっては、いつまでも長く生きていたいと思うようになったのです。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  恋が叶った喜びを素直に詠んだ和歌ですね。若くして亡くなった義孝のことを思うと、余計に切ない気持ちになる和歌です。

小倉百人一首_作者タイトルについて  藤原義孝は、いまから1050年ほど前の貴族です。第45番の歌人である謙徳公藤原伊尹(けんとくこうふじわらのこれただ)の三男で、順風満帆な人生を送るはずでしたが、流行した天然痘(てんねんとう)のために、21歳の若さで亡くなりました。姿かたちが美しく、信心深い穏やかな性格だったそうです。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


スポンサードリンク

point-2大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)

第49番
大中臣能宣
(おおなかとみのよしのぶ)

みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃えて 昼は消えつつ ものをこそ思へ


☆ みかきもり ゑじのたくひの よるはもえて ひるはきえつつ ものをこそおもへ
★ みかきもり えじのたくひの よるはもえて ひるはきえつつ ものをこそおもえ


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 夜は焚き、昼は消えている、宮中を守る衛士が焚くかがり火のように、わたしの恋心も夜は激しく燃え上がり、昼間は身も心も消えそうにもの思いに沈んでいることです。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  真っ暗な夜のなかに赤々と燃え上がるかがり火の明るさと強さが、目に浮かびますね。恋心が切なく浮き沈みする様子が、かがり火にたとえられています。

小倉百人一首_作者タイトルについて  大中臣能宣は、いまから1050年ほど前の神官です。歌人としても名高く、第42番の歌人である清原元輔(きよはらのもとすけ)とともに、村上天皇(むらかみてんのう)に選ばれた和歌を選定する五人(梨壷の五人/なしつぼのごにん)のうちのひとりに選ばれました。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-3源重之(みなもとのしげゆき)

第48番
源重之
(みなもとのしげゆき)

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ 砕けてものを 思ふころかな


☆ かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもふころかな
★ かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもうころかな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 風が激しいので、岩にあたる波がひとり砕け散るように、わたしひとりだけが、恋に心が乱れ砕けて、思い悩むことですよ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  自分の強く激しい恋心を自覚し、そして砕け散ってしまった悲しみ。地方勤めの旅の途中で、岩に砕け散る波の様子を目の当たりにしたのでしょうか。寒々しくも激しい情景が目に浮かぶようです。そして、その波に自身の恋心を比喩させた重之の哀しみもまた、胸をうちますね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  源重之は、いまから1050年ほど前のあまり地位の高くない官僚です。清和天皇(せいわてんのう)の孫ですが、父親の代に苗字を与えられ、皇族ではなくなりました。地方勤めが多かったようです。和歌を詠むのが上手でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-4恵慶法師(えぎょうほうし)

第47番
恵慶法師
(えぎょうほうし)

八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり


☆ やへむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり
★ やえむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 つる草のむぐらのような雑草がたくさん生え茂っているような荒れ果てたさびしい住まいに、訪ねてくるような人もいないけれど、秋だけは、きちんとやってきたのだなぁ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  第14番の歌人である河原左大臣源融(かわらのさだいじんみなもとのとおる)の住んでいた河原院で詠んだ和歌です。融が住んでいた時代から100年ほどが経ち、豪華なお屋敷も荒れ果てていたようです。時の流れ、人の世の儚さがにじみ出ていますね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  恵慶法師は、いまから1000年ほど前の僧侶です。詳しい生涯はまったく伝わっていません。わずかに、播磨国(現在の兵庫県と岡山県の一部)のお寺に居たことがわかっているのみです。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-5曽禰好忠(そねのよしただ)

第46番
曽禰好忠
(そねのよしただ)

由良のとを わたる舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな


☆ ゆらのとを わたるふなびと かぢをたえ ゆくへもしらぬ こひのみちかな
★ ゆらのとを わたるふなびと かじをたえ ゆくえもしらぬ こいのみちかな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 由良(現在の京都府宮津市)の海辺を漕ぎ渡る舟人が、舟を操る舵を失って、ゆくえも知れず波間に漂うように、どうなっていくのかわからない、わたしの恋の道です。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  はてしなく広がる海に漂う小さな舟の様子を思い浮かべてください。なんとも不安で寂しげではありませんか?好忠の気持ちも、そんな舟と同じくらい不安なのだということが、手に取るようにわかる和歌ですね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  曽禰好忠は、いまから1000年ほど前の下級官僚です。和歌を詠むのが上手で、自分で新しく言葉を作って和歌に詠み込んだりするなど、革新的な歌人でした。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-6謙徳公(けんとくこう)

第45番
謙徳公
(けんとくこう)

あはれとも いふべき人は 思ほえて 身のいたづらに なりぬべきかな


☆ あはれとも いふべきひとは おもほえて みのいたづらに なりぬべきかな
★ あわれとも いうべきひとは おもおえて みのいたずらに なりぬべきかな


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 わたしが死んでしまっても、可哀想だと言ってくれそうなひとがいるとは思えないまま、わたしはひとりぽっちで、空しく死んでしまうのでしょうか。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  好きな人に振り向いてもらえないのでしょうか。ずいぶんと心細い様子ですね。でも、振り向いてくれない相手を恨むのではなく、自分の身を哀しんでいるところに、この和歌の優しさがあるように思えます。

小倉百人一首_作者タイトルについて  謙徳公は、本名を藤原伊尹(ふじわらのこれただ)といいます。いまから1050年ほど前の貴族です。娘が冷泉天皇(れいぜいてんのう)の皇子を産み、その皇子が花山天皇(かざんてんのう)となり、自身は最高位の太政大臣までのぼりました。謙徳公は、亡くなった後に贈られた名前です。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-7中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)

第44番
中納言朝忠
(ちゅうなごんあさただ)

あふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし


☆ あふことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし
★ あうことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 もし、出会うことがまったく無いのなら、あなたの無情を恨んだり、わたしの身のつらさを恨んだりすることもなかったでしょうに。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  知らなければ心が平穏でいられたのに・・・そんなことを感じることはありませんか?恋しい人ができた喜びと戸惑いが感じられる和歌ですね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  中納言朝忠は、本名を藤原朝忠(ふじわらのあさただ)といいます。いまから1050年ほど前の貴族で、第25番の歌人である藤原定方(ふじわらのさだかた)の次男です。中納言は職名で、中の上くらいの地位でした。和歌はもちろん、漢学の素養もありました。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-8権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)

第43番
権中納言敦忠
(ごんちゅうなごんあつただ)

あひみての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり


☆ あひみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり
★ あいみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもわざりけり


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 あなたにお逢いできて、お互いの気持ちを確かめ合えたいまの、ますますあなたを恋しく想う心にくらべると、あなたにお逢いできる前のわたしの恋の悩みなんてなんでもないものでしたよ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  とても好きな人が出来て、その人との恋が叶う。こんな幸せなことはないのですが、叶ったら叶ったで、いっそう恋しい心が強くなってしまったのですね。そんな気持ちを素直に詠んだ和歌です。

小倉百人一首_作者タイトルについて  権中納言敦忠は、本名を藤原敦忠(ふじわらのあつただ)といいます。いまから1050年ほど前の貴族です。権中納言は職名で、中の上くらいの地位でした。敦忠は、和歌を詠むのはもちろん、楽器を演奏するのも上手で、そのうえ姿かたちも美しく性格も良かったので、多くの人に愛されたそうです。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-9清原元輔(きよはらのもとすけ)

第42番
清原元輔
(きよはらのもとすけ)

ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは


☆ ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは
★ ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すえのまつやま なみこさじとは


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 あなたとふたりで、かたく誓い合いましたよね。お互いにしぼれるくらいに涙で袖を濡らして。末の松山(現在の宮城県仙台市にあると考えられていた山)を海の波が越えることが絶対にないのと同じように、決して心変わりをしないってね。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  誓い合った相手は、心変わりをしてしまったのですね。切ない訴えが、ひしひしと胸を打つようですね。

小倉百人一首_作者タイトルについて  清原元輔は、いまから1050年ほど前の中級官僚です。第36番の歌人である清原深養父(きよはらのふかやぶ)は祖父、『枕草子』の作者として名高い第62番の歌人である清少納言(せいしょうなごん)は娘にあたります。第49番の歌人である大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)とともに、村上天皇(むらかみてんのう)に選ばれた和歌を選定する五人(梨壷の五人/なしつぼのごにん)のうちのひとりに選ばれました。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


point-10壬生忠見(みぶのただみ)

第41番
壬生忠見
(みぶのただみ)

恋すてふ わが名はまだき たちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか


☆ こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか
★ こいすちょう わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもいそめしか


小倉百人一首_タイトル 小倉百人一首_タイトルの意味 恋をしている、というわたしの噂は、はやくも皆に知られてしまった。人知れず、密かに恋しはじめたところだったのになぁ。

小倉百人一首_タイトルの鑑賞  この和歌は、村上天皇(むらかみてんのう)の御前で行なわれた「天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ)」の結びとして詠まれたものです。歌合(うたあわせ)とは、左右から一首ずつ和歌を詠み、優劣をつけるものです。第40番の平兼盛(たいらのかねもり)の和歌と競われました。二首の素晴らしさに、誰も優劣をつけられず、村上天皇も判断をくだされなかったそうですが、密かに第40番の方の和歌を口ずさんでおられたので、この和歌を負けとなってしまいました。第40番の和歌は、パッと華やかですが、こちらの和歌は、優美な印象ではありませんか?

小倉百人一首_作者タイトルについて  壬生忠見は、第30番の歌人である壬生忠岑(みぶのただみね)の息子で、いまから1050年ほど前の下級官僚です。地位はぱっとせず、貧困で苦しんだようですが、歌人としては名高く、多くの和歌を残しました。


注)☆は旧仮名遣い、★は現代仮名遣いよみです。
旧仮名遣いは、仮名のとおりに発音しないものがあるので連記します。
市販されている百人一首カルタは、☆表記になっていますので、☆と★を見比べながら、読んでみてください。


TOPPAGE  TOP